ディトロイトの興亡と南部の台頭:米国自動車産業の地殻変動
米国自動車産業の地理的中心は、かつての「モータービル」から多極化へと向かっています。伝統的に産業の中心地であったミシガン州を中心とする中西部(ラストベルト) は、工場の閉鎖や雇用の減少に悩まされ、衰退のイメージが強まりました。
その一方で、ここ数十年で急速に台頭しているのが南部の州です。アラバマ、テネシー、ケンタッキー、テキサスなどの州は、労働組合の組織率が低く、賃金コストが比較的安いことから、外国メーカーを中心とした新たな工場立地の候補地として人気を集めています。トヨタ、日産、BMW、ヒュンダイなどが南部に大規模な生産拠点を構え、「南部自動車ベルト」とも呼ばれる新たな産業地帯を形成しました。
この地殻変動は、単なる工場の移転ではなく、産業の雇用形態や地域経済に大きな影響を与えています。しかし、デトロイト周辺もEVやバッテリー工場の新設投資が進むなど、「EVベルト」 としての復権を目指す動きも見られます。
FAQ
Q: なぜ南部は外国メーカーに人気なのですか?A: 主な理由は二つです。一つは上述の労働コスト。もう一つは、州や地方政府が税制優遇措置などのインセンティブを積極的に提供しているためです。
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